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SOULNOTE X-3 試聴記


SOULNOTEから新たに発売になった、マスタークロックジェネレーター X-3を聴いてみました。外観は「シンプルの極み」でパイロットランプやインジケーターは一つもありません。電源スイッチは後面でこちらもインジケーターはありません。他にあるのは電源インレットとクロックケーブルを接続する端子のみです。しかも音質を優先して1系統のみということで、このあたりは設計者の加藤氏のこだわりが感じられます。

このX-3は加藤氏が3シリーズのDAコンバーターD-3を開発しているときに新しいOCXOクロックを偶然見つけてしまったことから始まっているようです。そこからDAC本体にクロックを内蔵するより、外付けにしてクロックを独立させるほうが、ノイズ対策や電源の充実度などで有利になると判断したようです。ということでD-3にはクロックを内蔵せず、X-3が誕生したわけです。D/Aコンバーターでクロック非内蔵というのは初めてではないですかね。確かに外付けのクロックジェネレーターを後から追加することを考えれば、コンバーター内部のクロックは必要なくなりますが、なかなか攻めた設計思想ではあります。
またこの端子も従来のBNC端子ではなく、伝送特性に優れたSMA端子となっております。付属のクロックケーブルは両端SMA端子となっておりますが、SMA→BNC端子の変換アダプタ―が付属されています。

展示しているD/AコンバーターのD-2にX-3を接続してみました。D-2の背面に外部クロックの接続BNC端子があり、その横に内蔵クロックと外部クロックの切り替えスイッチがありそれをEXTERNALに切り替えるとD-2の電源インジケーターが赤からブルーに変わりました。なるほどこれならX-3にインジケーターが無くても接続されているかどうかはわかりますね。

そしてそのサウンドはなかなか強烈な印象でした。私も自宅でESOTERICのマスタークロックジェネレーター(G-02)を使っていますが、それよりも遥かにいい印象でした。SOULNOTEもESOTERICも35万円近辺と同じ価格帯で、OCXO(恒温槽付水晶発振器)のクロックジェネレーターです。しかしG-02は10年位前の製品ですし、機能的にもG—02はクロック周波数が44.1/48KHzベースの周波数と10MHz/100MHzも出力できる万能型ですが、X-3は10MHzのみ1系統という超シンプルでクオリティ優先の設計で、実際勝負にはならないと思います。

G—02の印象は音の輪郭がはっきりして滲みがなくなった感じがしましたが、X-3ではそれだけではない、一つ一つの音の粒立ちの良さに加えて音が迫ってくるものがあるような気がします。直接の比較試聴をしていないので断定的なことは言えませんが、感覚的にはそんな感じがします。別の言い方をすると演奏者とリスナーの距離が近くなったというか、演奏者の姿が間近に感じられるような感覚がありました。

RCC-1(左側)と 付属ケーブル(右側)

D2にはクロック入力の横に外部入力と内蔵クロックの切替スイッチがあるので、これでクロックの違いを試してみました。そこには一聴して分かるほどの違いがありました。X-3を通すと音のカドが立つというか切れ味が明らかに増しますね。内蔵クロックに戻すと妙に丸っこい音に感じてしまいます。
このX-3 には細身のクロックケーブルが付属で付いていますが、オプションでRCC-1という極太のクロックケーブルがあり、これがまたスゴイです。オリジナルのケーブルとの差は歴然で、中低域の厚みが出てきます。演奏者の気迫が更に伝わってくるようなホットなサウンドが楽しめます。こりゃあスゴイなと思ったら価格も132,000円となかなかの高級品です。両方合わせて484,000円と50万円近くになりますが、SOULNOTEのユーザーはこだわりの強い方が多いので、この違いを体験した方は「しょうがねーなぁ」という感じで、気持ち的には「にんまり」となるのではないでしょうか(笑)。ここまで来たら後には戻れないと思います。でもそれならば、最初からRCC-1を付属させて細身のケーブルを差し引いた価格にするほうが良心的なような気がしますが、SOULNOTEさんいかがでしょうか?