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TAD-ME1 展示しました


TAD-ME1

このたび、縁あって当店の展示ラインナップにTADの小型スピーカーシステムTAD-ME1が加わりました。

TADのスピーカーといえば、かのアンドリュー・ジョーンズ氏が設計した同軸2ウェイユニット(CSTドライバー)が特徴ですが、このME1も採用されています。ただ当人は既にTADを去り、現在はELACに移籍して同じく同軸2ウェイユニットを設計しています。

このTAD-ME1の母体は2014年に発売されたTAD-CE1です。ちなみにCE1はCompact Evolution Oneの略で、ME1はMicro Evolution Oneの略です。
TAD-CE1は18cmウーハーユニットと14cmCSTユニットの構成で、CSTユニットは14cmマグネシウム合金の振動板と3.5cmベリリウム振動板の同軸構造です。バッフル面積を極力小さくして、奥行きを長くしてエンクロージャー容量を確保しています。そのエンクロージャーのサイドパネルはバスレフのポートが設けられ、エンクロージャーのサイドに開けられたスリットから放出される構造となっています。全体のサイズは小さいとはいえ1台30㎏と結構重く、価格も1ペア180万円となかなかのお値段です。

そのCE1を小型・軽量化したのがME1です。ユニット構成は14cmウーハーユニットと9cmCSTユニットで、CSTユニットは9cmと2.5cmの同軸構造で振動板の素材はCE1と同じです。サイドのバスレフポート(Bi-Direction ADS ポート)も同じ構造です。CE1を一回り小型にして、重量も20㎏と30%の軽量化が図られました。価格は1ペア100万円とこちらは45%のコストダウンとなっております。
音のクオリティは40%ダウンかというとそんなことはありません。確かに風のような重低音の再生は望めませんが、ジャズ系の低域はよく締りが効いて好印象でした。こうした小型スピーカーの最大の利点は音像の見通しの良さとピンポイントの定位でありましょう。

このスピーカーの魅力は緻密な空間表現にあります。ステレオサンド誌の製品紹介のページでオーディオ評論家の傅 信幸氏は「盆栽」の美しさと表現されておりましたが、その通りだと思います。その昔、イギリスの小型スピーカーシステムRogers LS-3/5Aが箱庭的美しさと評されておりましたが(このスピーカーは現在でも生産されておりこの評価は今日でも変わりませんが)、TAD-ME1が奏でる世界は箱庭的美しさにプラスして、サウンドステージがくっきりと浮かび上がるバーチャルリアリティの世界です。これは高性能小型スピーカーシステムの独特の世界だと思います。一軒家の広いオーディオルームがあって、音量も十分に上げられる環境をお持ちの方であれば別の選択があるでしょうが、マンションやアパート等の集合住宅でスペースも音量も限られている環境であれば、このスピーカーの良さを最大限発揮できるような気がします。ただしその場合はアンプのクオリティも十分に吟味する必要はあろうかと思います。