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TAD-E1TX 試聴記


お客様の試聴希望により、昨年発売されましたフロア型スピーカーTAD-E1TXを借りて様々な音楽を聴きました。

使用ユニットは既発売のTAD-ME1とほぼ同じ。中高域を受け持つCSTドライバーはME1と同一のもので、ウーハーユニットは基本的には同じものですがE1TX用に最適化しているとのこと。両サイドにはME1でも採用されたBi-Directional ADSポートが採用されています。E1TXは円形になっているため、ポートも全方位型に放射するのかと思っていましたが、前後のみとのことでした。去年試聴会イベントで初めて見たときはそれほど大きさを感じませんでしたが、今回店に持ち込んでみると予想以上のサイズ感にちょっと驚きました。

さて肝心の音の印象ですが、低域の量感も過不足なく、なかなかのウェルバランスで好印象でした。ME1はユニット径やエンクロージャーのサイズの問題から最低域は諦めざるを得ず、その分「箱庭的美しさ」を感じさせる独特の美学がありましたが、E1TXは「箱庭的」という印象は全くなく等身大の音楽が楽しめます。低域から中高域までキレのある存在感あふれるサウンドを楽しませてくれます。シャープで淀みのない解像度の高いハイクオリティサウンドは、日本のメーカーらしいキメの細かいまじめな音作りを感じさせます。
それゆえ、音楽と真剣に対峙して音楽の世界に入り込んでいけるため、ある種の緊張感を強いられるかもしれません。そういう意味では現代のハイエンドスピーカーとしての要素はすべて持っているといえるものでした

ジャズ系の音楽はタイトで締った音色が心地良く、ピアノのタッチやドラムの皮をたたく感触がリアルで実体感がありました。クラシック系は音の粒立ちがよく各楽器の位置が目に見えるようなリアリティがありました。ただ全体的に締った辛口の音の印象で、クラシックファンは好みの分かれるとことであるかもしれません。

今回はこれもお客様の希望でパワーアンプのTAD-M1000もお借りしてこの組み合わせで聴いております。ちなみにプリアンプはAccuphase C-3850です。
TAD-M1000はクラスD増幅のパワーアンプですが、電源は巨大なトロイダルトランス2基を積んだアナログ電源回路です。また入力から出力まで完全バランス構成で、内部構成も左右対称設計というデュアルモノラル設計となっております。
TAD-M1000とTAD-T1EXの組み合わせで聴くと、TADが目指しているサウンドの方向性がよくわかります。北国の冷え込んだ朝のように、キリッとした空気感の中で感じるある種の清々しさのようなピュアネスを感じます。

TAD-M1000の隣にあるのはJEFF ROWLANDのMODEL625SⅡです。別件でお借りしていたパワーアンプでしたが試しに比較試聴しました。TAD-M1000の135万円に対して243万円と100万円以上高いこともあって、さすがにいい音でした。このアンプはTADの逆で、電源はスイッチング電源で増幅はトランジスターの多段増幅です。そのため多少発熱がある分、温度感のある上質な音が楽しめます。

オーディオの世界はリスナーそれぞれの好みの世界ですので、ご自分の感覚・感触に一番フィットする組み合わせを選ぶことが何より大切ですが、TADが描く音楽の世界はピュアネスというワードが一番ぴったりくる印象を持った今回の試聴でした。