グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム >  ブログ >  SOULNOTE S-3とESOTERIC K-03XDの比較試聴

SOULNOTE S-3とESOTERIC K-03XDの比較試聴


最近巷で話題のSOULNOTE初のSACDプレーヤーであるS-3と、これまた新製品で話題のESOTERIC K-03XDの2機種をお借りしました。

SOULNOTE S-3はESSの最上位DACチップES9038PROを片chあたり2個で計4個を使ったDAC基盤と、アナログ回路にバイポーラトランジスタ4個と抵抗8本のみで構成された完全バランス電圧増幅回路「TYPE-R Circuit」が最大の特徴です。またCDプレーヤーと思えないほどの大型トロイダルトランスをデジタルとアナログ系に2個搭載し、さらに大量のハイクオリティ低倍率コンデンサーによる無帰還電源回路など、設計者の加藤秀樹氏の「攻めた設計」が存分に発揮された注目モデルです。
その他SACDメカをアルミ削り出しベースを通じて一点スパイクで接地させて後方2点のスパイクと合わせて3点接地を実現したり、天板のフローティング構造もシャーシに掘られたスパイク受けに3点接地させたりと細かいチューニングが施されています。

さて注目のサウンドですが、非常に鮮度感の高いフレッシュな音楽が楽しめます。低域の量感と質感も十分にあり、3次元的な空間の広がりも感じられます。音楽ジャンルに関係なく、録音のいいディスクは圧倒的なクオリティを発揮します。そのかわり、さして録音の良くないディスクはそれなりの音になってしまいます。そういう意味でもストレートで正直なサウンドと言えましょう。
ハイエンドオーディオの世界は一定の条件下の中で抜群のパフォーマンスを発揮するものと、どのような条件でも常に一定レベル以上のクオリティを楽しめるものとに分かれますが、SOULNOTE S-3は間違いなく前者だと思います。

ESOTERIC K-03XDは2010年のK-01/K-03から続く4世代目の新製品です。
ESOTERICのSACDトランスポートの最高峰Grandioso P1Xで採用されたドライブメカ「VRDS-ATLAS」の末弟モデル「ATLAS-03」を搭載してこの3月に発売になったばかりのホットモデルです。このほかにもSACDモノラルDAC 構成のGrandioso D1Xで開発された、汎用DACチップを使わず基板上でDAC回路を組み上げる「Master Sound Discrete DAC」を採用しています。一体型SACDプレーヤーの最高峰Grandioso K1Xとパーツのグレードは違えど基本構成は同一なDAC基盤となっております。
3代目のK-01Xs/K-03Xsから2年弱のタイミングでの代替わりには、この「VRDS-ATLAS」と「Master Sound Discrete DAC」がそれだけの大きなアドバンテージがあった技術革新であり、その技術をなるべく早く下位モデルに搭載したいという意向があったのは間違いありません。

K-03XDのサウンドはESOTERICが持っている骨太で男性的な音色に、更に磨きをかけた印象です。「VRDS-ATLAS」は幅広で高さの低いメカで低重心化に成功しています。これが低域の安定感に大きく寄与していると思われます。そして「Master Sound Discrete DAC」によって音楽の躍動感とエネルギー感につながっている感じがします。その改善度は大きく、Kシリーズの中でも抜群の完成度と成熟度を誇っています。またこれは従来のKシリーズにも備わっていましたが、独自のDDコンバート機能によりご自身の好みの音色に近づけることが可能です。それとMQA-CDの再生が可能なこともアピールポイントの一つです。

SOULNOTE S-3とESOTERIC K-03XDは価格的に近いこともあって比較試聴の対象になると思いますが、再生音へのアプローチは結構な違いがあるように思います。S-3は「何も足さず何も引かず」でディスクの情報をそのままストレートに出すのに対して、K-03XDは録音の良くないディスクでもDDコンバート機能等の手法でESOTERIC独自の世界に引き込んでクオリティを上げてくれる懐の深さがあります。再生音のクオリティは同列にあると思いますが、その個性は違いがありますのでご自身のシステムの個性とリスナーの目指す方向性で相性をご判断いただければと思います。