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Sonus faber SONETTOシリーズ試聴記


先日Sonus faberの輸入代理店の㈱ノアの方が、新シリーズのSONETTOを聴いてほしいとお見えになりました。なんでも社長交代を機に、今までオーディオルートの問屋さん経由で大手量販店に流通していたものを、問屋さんルートを閉鎖して専門店ルートのみに変更するとのことです。最近こうした手法を選択する輸入代理店が少なからず出てきております。オーディオがブームだった頃は薄利多売という商法が成り立っていましたが、現在のように量が見込めない時代だと専門店で適切な価格で丁寧に販売していくということが求められるようになってきたのかなと思います。そういう意味では私どものような弱小専門店が生き残る道も厳しいながらも残されているような気がしてきます。

そんな中、SONETTOシリーズの末弟SONETTOⅠ を聴きました。Sonus faberらしい柔らか味のある優しい音でした。価格は1ペア198,000円と手頃で、Monitor AudioのSTUDIOの1ペア220,000円と同じ価格帯ですが、音の傾向が異なってすみ分けができそうなので導入することにしました。クラシックや女性ヴォーカルをしっとりと鳴らすにはいい雰囲気を醸し出します。

そうしているうちに今度は上位モデルのSONETTOⅢも聴いてほしいということで、後日デモ機を持ってきていただきました。こちらは1ペア500,000円ですが思ったよりサイズが小さく、日本の一般家庭では使いやすいサイズだと思いました。

SONETTOシリーズはVENEREシリーズの後継モデルとして登場しました。Sonus faberのアイデンティティともいえるライラ(竪琴)シェイプのエンクロージャーは受け継いでおりますが、スピーカーユニットやネットワークは新設計です。VENEREは他のSonus faberのモデルと同様に、ユニット間の位相整合のためエンクロージャーを6度後方にスラントさせていましたが、最近のモデルはネットワーク内で各ユニットの位相を最適化する手法を用いてエンクロージャーを傾斜させていません。SONETTOシリーズもこの技術を受け継いで直立になっています。スピーカーユニットも新設計で、ツイーターは最近のモデルで使われているドームツイーターの頂点をピンポイントで接触させるアローポイントDADツイーターを採用し、ウーハーはアルミ合金製ダイアフラムをSONETTO専用に投入しています。(SONETTOⅠは異種繊維をブレンドしたミッドレンジユニットをウーハー用にチューニングして採用)

またVENEREシリーズはVENERE Signatureを除いて中国の工場で生産されていましたがSONETTOシリーズは全モデルイタリア本国で生産されています。スピーカー上面に張られた皮は合成皮革とのことですが、柔らかな肌触りが上質な感じで心地いいです。その他エンクロージャー後面にシリアルナンバー入りの「made in ITALY」のプレートが誇らしげに付いております。

さてここからはそのサウンド比較ですが、両機種とも外観も含めて価格以上のポテンシャルを感じました。音色は両方とも同じ傾向です。しっとりとした柔らかさの中にも明るさがあって、ジャンルを問わず音楽が楽しめます。
SONETTOⅠはサイズの割には低域の量感を感じます。最低域は望めないのですがその上の帯域の厚みがあって全体としてうまくバランスしている印象です。バスレフポートが前面下部にあるのでスピーカー後ろのスペースにはそれほど気を使わなくて済みそうです。専用スタンドは叩くとカンカン鳴くのでジルコンサンドなどの詰め物をしたほうがいいでしょう。
SONETTOⅢはダブルウーハーの3ウェイですので低域の量感と厚みが増します。音楽の深みを感じることができます。ただこのⅢとその上のⅧは底面にバスレフダクトがあるのですが、スパイクの長さが短いため床との距離が短く低域がこもり気味になります。スピーカーの下にアンダーボード(ACOUSTIC REVIVEのヒッコリーボード)を敷いたところ、低域は劇的に改善されました。どうやらこのスピーカーの場合はフローリングの床以外はアンダーボードが必須のようです。その際はアンダーボードの材質によって音色が変わりますので、ご自身の好みによって選択してください。
近年のSonus faberは高級化が著しく、反面手頃な製品は個人的にはあまり魅力を感じませんでしたが、このSONETTOシリーズは品質も良く、サウンド的にも魅力があって良くできたスピーカーだと思います。クラシック中心に楽しまれる方でサイズのあまり大きくないものというご希望でしたら、非常にいい選択だと思います。