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ACOUSTIC REVIVE RHR-21 試聴記


ACOUSTIC REVIVE RHR-21

アコースティック・リバイブが最近発売した、ルームチューニングディバイスのRHR-21を試してみました。

直径51mm高さ164mmの円柱状の製品ですが、サイズの割には結構な重さがあり(876g!)、その上面には中心に大きな穴が1つと、その周りに小さな穴が12個と、更にその外側に中間のサイズの穴がやはり12個空いております。しかもその穴の中にプラスティック状の詰め物が入っており、深さが順番にそれぞれ違っており、右回りに徐々に浅くなっております。そして一番浅い穴をリスナーに向けるようにセットします。
「こんなけったいなもので音が良くなるんかいな?」と思いながら、半信半疑でセットしてみたら・・・。
これが摩訶不思議で、いい感じになるのですねえ~! 何ともビックリしました!

アコースティック・リバイブのウェブサイトには、定在波の解消だけでなく、リスニングルーム内の不要輻射や帯域の偏りを解消することが可能と説明していますが、本当にそのようなことが可能なのかと半信半疑でしたが、実際セットして聴いてみたら、確かに効果はあるようです。

この製品の原理は「ヘルムホルツ共鳴 」と呼ばれる現象がベースになっているようです。
ワインボトルやフラスコの上部にある空気の出入り口に、横から息を吹きかけることで音が発生する現象ですね。
①ビンの飲み口に息を吹きかけると、ネック部分の空気がボトルに押し込まれる
②押し込まれた空気によってボトル内の圧力が上昇し、空気を再び押し返そうとする
上記の動きが交互に繰り返されることによって、容器が振動し音が鳴るという仕組みです。
しかし「音が発生することが、なぜ防音効果に意味があるの?」と疑問に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
実は、ヘルムホルツ共鳴は共鳴している音を中心に、音の運動エネルギーを吸い取る効果があり、この特性を活かして音を打ち消すことができるようになっているとのことです。学校の音楽室や会社の会議室、もっと大きなスペースではコンサートホールなどで使われている有孔ボードなどは、吸い取った音を吸収し、空気の振動との摩擦で音エネルギーを奪い、熱エネルギーに変換することで音を打ち消す効果があるのです。
この原理を巧みに利用して、定在波の解消やリスニングルーム内の不要反射や帯域の偏りを解消することに成功しています。
しかもこのサイズで、明らかな効果が感じられるまでに仕上げてきたことは、驚きでしかありません。価格は1台148,000円(税別)とかなり高価ではありますが、試しに一度聴いてそのパフォーマンスを考えれば、決して「べらぼうな価格」という訳ではないように思えてしまいます。
技術的な詳細が公開されている訳ではありませんので、どういう仕組みでこのパフォーマンスが発揮されるのか、今一つ理解しにくいところがありますが、確かにクオリティの向上は感じることができると思います。


さて、ここからは試聴です。
RHR-21を置いた時と外した時での比較と、RHR-21をパワーアンプのすぐ後ろに置いた場合とパワーアンプから30㎝程後ろに置いた場合での比較もしてみました。

RHR-21を置いた時は、全体的にスッキリした音になり、音像定位が良くなって、見通しの良い音場が展開されました。外してみると音楽トータルとして少しぼやけたというか、緩んだ音に聞こえました。別の言い方をすると、澄んだ空気と淀んだ空気の違いみたいなものを感じました。
この違いがはっきり出たのが、「カンターテ・ドミノ」でした。1976年の録音ですが、冬のストックホルムの教会で収録された優秀録音盤です。天井の高い教会ならではのエコー感が非常にきれいに再現されました。
RHR-21を後ろに下げて聴いたところ、すごく奥行感が出てきて教会全体の空間の広さを感じました。奥行感を求めるならば、スピーカーの間の中心でなるべく奥の位置に置くようにするのが良いと思います。

ただ、スピーカーの間というのはオーディオラック等があったりして奥行方向にスペースが取れないケースが多いので、その場合は左右のスピーカーをオーディオラックの前に出して、その後ろのスペースに置くくらいしかないと思います。しかしこれだけでもかなり変化がありますので、一度試してみる価値はあると思います。

左右のスピーカーの後ろに設置

左右のスピーカーの間で前後方向に距離を空けて設置

また2個使いのほうが効果的のようなので、もう1個お借りして比較をしてみました。
やはり1個より2個のほうが効果としては大きいですね。
2個使用ですと音場の再現性が格段に上がります。特にスピーカーの中央で、奥行方向に2個を間隔をあけて置くと、奥行感がハンパなく出てきます。
2個の場合はスピーカーの後ろに置く場合と、アンプの後ろや機材を収納しているラックの後ろに置く場合が考えられますが、一般的にはラックの後ろはスペースがそれほどないと思いますので、オーディオラック自体をリスニングポイントの近くまで前に出して、ラック後方のスペースを空けることができれば、奥行感たっぷりのサウンドステージが楽しめます。定在波の解消という意味ではこうした対策は効果的であるように思えます。

こうした奥行感や立体感を感じさせる製品は、アコースティック・パネル等で様々のものがありますが、なかなか「これを使うと確実に良くなる」というような決定版的な製品が少ないのですが、今回のRHR-21は「なぜか良くわからないけど確実に効果がある!」という魔法のような製品です。商品のサイズも小さく、「こんなもんで音が良くなるんかいな?」と誰もが思ってしまう製品ですが、試してみると「摩訶不思議」という言葉がぴったりくるような効果と驚きがありました。サイズからはとても148,000円には思えない製品ですが、使ってみると「なぜこんなに変わるのか?」と驚きと疑問の連続でした。
・どういう発想でこの製品ができたのか?
・内部構造はどうなっているのか?
・開発期間はどれくらいなのか?
・なぜあのサイズなのか?
などと疑問が次々と浮かんできます。

店頭でデモをしてみても、RHR-21を置いた場合と置かない場合ではサウンドステージの大きさと緻密さがかなり違いました。また1個使いと2個使いでは2個のほうが音場の広さと臨場感が格段に違ってきます。
店頭の場合は数多くのスピーカーが置いてあるため、複数のスピーカーがお互いに影響し合っていることも考えられるため、自宅に持って帰ってテストをしてみました。

自宅では左右のスピーカーの後方30㎝くらいの位置に置いて聴きました。
いやはや、効果テキメンでしたね。やはり聴きなれた自宅での試聴のほうが、驚きと感動がはるかに大きかったのには本当にビックリしました。音場感と立体感、さらにサウンドステージの空気感が、今までに感じたことがないほどのリアリティの中で音楽を楽しむことができました。もちろん2本使いのほうが効果が高いことは言うまでもありません。音楽が鳴っている空間の空気がフレッシュエアーのように澄んでいる感じがしました。

様々な音楽ジャンルを聴きましたが、どのジャンルも演奏空間のクリアネスは十分感じることができました。クラシック(交響曲・弦楽四重奏)、女性ボーカル、ジャズ(ピアノトリオ・ビッグバンド)、フュージョン等、どの音楽を聴いても、雑味の無さとか音の滲みの無さも感じることができ、音場がシャープになるのが実感として感じられました。

聴き終わった瞬間、「これはマズイものを聴いてしまったかなあ・・・?」というのが正直な感想でありました。外観のたたずまいからは全く想像がつかないくらいのインパクトがありました。
アコースティックリバイブのウェブサイトではリスナーの後方、あるいはスピーカーの横方向外側でも効果的のようですので、また試してみたいと思います。但し、ある一定のクオリティのオーディオ機器をお持ちの方でしたら、中途半端な気持ちで聴かないほうがいいかも知れません。この製品のオーディオ空間の改善度は素晴らしいの一言です。でも必ず欲しくなってしまいますね(笑)。