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Sonus faber OLYMPICA NOVA Ⅲ 試聴記


Sonus faberの新製品、OLYMPICA NOVA Ⅲを借りて聴いております。

2013年に発売になりましたOLYMPICAの後継モデルですが、7年の歳月を経てエンクロージャーやスピーカーユニットのさらなる進化を遂げて、OLYMPICA NOVAシリーズの登場です。
OLYMPICAは天板とバッフル面全体にレザーを巻いたフォルムが印象的でしたが、新しいNOVAシリーズは厚みの異なる木材シートの木目を直行させて8層重ねてプレス加工しており、美しくも強靭なラウンドフォルムに仕上げたキャビネットとなっております。バッフル面は巾を最小にしており、キャビネット全体のフォルムも細身となり、日本の一般家庭には導入しやすいサイズ感となっています。更にキャビネットの上面はアルミの縁取りが施されており、剛性の確保とデザイン的なアクセントになっています。また底面は厚手のアルミの一枚プレートになっており、そこから4方向にスパイクを支える支柱を形成しています。このプレートは結構分厚いので、ウーハーユニットやキャビネットの振動を効果的に遮断するのに役立っているものと思われます。

背面のステルス・ウルトラフレックスポート

また背面にはエンクロージャーのトップからボトムまで一直線に5枚のアルミプレートを配してバスレフポートとしています。各ユニットからの背圧は並行面のないエンクロージャー内部を回り込んでこのスリット状のポート(ステルス・ウルトラフレックスポート)から排出されます。またこのポートは左右非対称のエンクロージャーの中心からオフセットされて配置されているため、部屋の音響特性に合わせて左右を入れ替えることによって低域のコントロールが可能です。
各スピーカーユニットはNOVA用に新設計されたもので、ツイーターとミッドレンジは一つの金属バッフルにマウントして表面にイタリアンレザーをあしらうことで、振動を巧みにダンプしています。ウーハーユニットはセルロースパルプのシート2枚でシンタクティック・フォーム材シートを挟み込む構造でレスポンスの良い締まった低域と中域とのシームレスなつながりを可能にしました。

レザー張り独立ハウジング中高域ユニット


さてこのスピーカーのサウンドインプレッションですが、一言でいえば明るく爽やかな音ですね。ELECTA AMATOR ⅢやMINIMA AMTOR Ⅱのような陰影の深い、落ち着きのあるサウンドとは異にして、「イタリアの青い空」のような陽気な音色で、音楽は選ばずどんなジャンルでもイタリアンカラーで鳴らすといった印象です。カンツオーネあたりはうまく鳴るでしょうね。
その響きの豊かな明るい音はフロントバッフル全体をレザーで覆っていないことによるものではないかと推測します。別にソーナスらしさが失われたという印象は特になく、逆にこれぞイタリアンサウンドという前向きの評価ができると思います。

響きもよく解像度も高いので、ピアノ協奏曲や弦楽四重奏といったクラシックや、ジャズのピアノトリオやホーンセクションなどもいい感じで鳴ります。低域は深すぎず重すぎず、適度な弾力を保ちながらサウンドバランスも良好で、特に苦手な音楽ジャンルはないように思えます。あとはそれぞれのリスナーがそれぞれの好みの中で、そのパフォーマンスを好ましいと思えるかどうかということだと思います。

前作のOLYMPICAを聴いたときは、悪くはないけど特に印象に残ったものがなかったように思えましたが、このOLYMPICA NOVAは一聴してなかなかの魅力を感じました。Sonus faberというと独特のマイルド感があって、ジャズよりはクラシック向きというイメージが強いのですが、このスピーカーはジャンルを選ばず何でもうまく鳴らす適応力とカラッとした陽気なサウンドが魅力で音楽を楽しく聴けますね。比較的録音の新しいものなどはサウンドステージの広がりと相まって演奏者の姿が見えるようです。そういう意味ではかなり現代的なスピーカーといえるかもしれません。しかしそんな中でも聴き疲れするような音色ではないところがSonus faberたるゆえんでありましょう。