グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム >  ブログ >  ESOTERIC N-05XD 展示しました

ESOTERIC N-05XD 展示しました


エソテリックの新製品ネットワークDACプリ、N-05XDが発売になりました。当初は5月の発売予定でしたが、世界的な半導体の品不足もあって発売が延期されておりましたが、今月ようやく展示分が入荷してきました。
税込825,000円というプライスタグは普及価格帯という範疇には入りませんが、プリアンプというカテゴリーがすでに高級品しかありませんので、プリアンプにネットワークプレーヤーとDACがついたと考えれば、それほど高いというわけではないような気もします。

このところCDプレーヤーなどに代表されるデジタル音源の再生はe-onkyoに代表されるようなハイレゾを含めたダウンロード音源や、Spotifyや TIDALに代表されるデジタルストリーミングサービスなどがもてはやされていますが、こうした音源を再生するUSB-DACやネットワークプレーヤーも世の中に数多く出回っております。しかしそのほとんどがデジタル信号をアナログ信号に変換する、いわゆるD/Aコンバーターであり、これにプリアンプあるいはプリメインアンプを接続するものであります。

しかし今回エソテリックがリリースしたものはネットワーク機能とD/Aコンバーターに良質なプリアンプ機能を持たせた今の時代にマッチした製品となりました。
エソテリックでもN-01XDというネットワークDACと、N-03Tというネットワークトランスポートがありますが、それぞれ1,650,000円(税込)と858,000円(税込)となかなかの高級品です。N-01XDはかなりのハイエンドDACですし、N-03Tはハイレゾデータを格納したNASからLAN端子で受けて、デジタル出力(RCA/XLR /SUB)するだけというこれまたマニアックな製品です。当然クオリティはかなりアップしますが、それでも投資金額もかなりのものになります。そこまでのクオリティは求めないけど、一定のクオリティを保ちながらハイレゾ再生を中心にシンプルなシステムを組みたいという方には今回のN-05XDはうってつけの製品となるでしょう。ネットワークプレーヤー機能とDACセクション、そしてアナログ入力2系統を含めてのプリアンプ機能と、うまくまとめた製品に仕上げたと思います。

D/AコンバーターはGrandioso D1Xで開発されたMaster Sound Discrete DACをベースとして、N-05XD専用にカスタマイズされたもので、歴代の上位機種で培われたノウハウを生かして音楽をピュアに再生いたします。またプリアンプ部にはL/Rとプラス/マイナスの4回路を一括コントロールするESOTERIC QVCSアッテネーターシステムを搭載して、操作性と音質を両立したボリウムコントロールを可能にしました。また定評のフルバランスデュアルモノラル構成で、プリアンプとしてのクオリティも十分期待に応えうるものです。
そして最近のエソテリック製品に標準装備されているのが、ES-LINK Analogという新しいライン入力伝送方式です。ハイスピードで強力な電流供給能力を誇るHCLD(ハイカレントラインドライバー) バッファ回路の高性能を生かし、究極のアナログ伝送ができるという触れ込みで注目の伝送方式です。エソテリックでは「電流伝送」と名付けて、信号をピュアに力強く伝送することが可能として、ケーブル内を流れる電流量は一般的なバランス伝送と比較して50~100倍にもなるとのことです

現在、市場に出回っているネットワークプレーヤーは数多くありますが、本格的なプリアンプ機能を有しているのはこのN-05XDだけではないかと思います。唯一これに近い存在が、アメリカのニューヨークを本拠地にしているMYTEC Digital社のBrooklyn Bridgeという小型のネットワークプレーヤー(税込396,000円)があり、この機種は出力のボリウムコントロールが可能なため、簡易プリとして機能いたします。サイズの割には本格的な内容で、DACチップもESSのES9028PROを採用していますが、プリアンプ部はエソテリックには及びません。あとは同じくESSのES9038QM2を使用した可変出力付きのティアックのNT-505X(税込206,800円)くらいでしょうか。

Brooklyn Bridge(B)

NT-505X(B)

N-05XDの場合はこうした市販のDACチップではなく、自前でDAC基盤を組んで、DACチップの個性やクセを回避して自分たちの理想的はサウンドを目指しています。これは最上位機種のGrandioso D1Xで開発したノウハウをうまくディチューンして搭載しております。この辺りはさすが老舗ブランドですね。
そしてこのプリアンプとペアになるパワーアンプということになると、価格帯から言ってS-02(税込1,045,000円)あたりになると思われます。しかしエソテリックのセパレートアンプは最上級クラスのGrandiosoシリーズを除いてES-LINK Analogへの対応が遅れています。モデルチェンジの際に順次対応していくと思いますが、現在のところその時期はまだアナウンスされていません。この対応ができた時がN-05XDのクオリティが最大限発揮される時だと思います。もちろん他社製のパワーアンプと組み合わせする場合はいつでもOKだと思います。

試聴はDACプリを通常のバランス出力でアキュフェーズA-75パワーアンプに接続した音(スピーカーはB&W 803D3)と、ネットワークDACの出力をES-LINK Analogで出力して、F-05プリメインアンプに装着したES-LINK Analog入力ボードで受けた電流伝送プリメインアンプの音(スピーカーはELAC SOLANO FS287)を比較してみました。

803D3は普段アキュフェーズC-3850プリアンプ(税込1,980,000円)とA-75の組合せで音出ししていますので、さすがに同じクオリティというわけにはいきませんが、N-05XDはエソテリックらしい押し出しの強い男性的な音色で、C-3850の半額以下というプライスを考えると、ネットワークDACプリとしての存在感やクオリティは十分に感じられる製品だと思いました。

興味深かったのはN-05XDをF-05(税込792,000円)につないで鳴らしたサウンドでした。この場合N-05XDはボリウムコントロールを通さず、ES-LINK出力でF-05のES-LINK Analog入力ボードに送り込み、F-05のボリウムで音量コントロールします。つまりN-05XDはプリ機能を使わずにネットワークDACとして機能しています。スピーカーはトールボーイタイプのELAC SOLANO FS287(税込506,000円/1ペア)で、15cmウーハー2発のダブルウーハーとJET Ⅴツイーターの2ウェイシステムで50万円クラスのプリメインアンプであれば十分駆動できるスピーカーであります。

予想通り電流伝送の効果は顕著で、低域の力感や中高域も含めた解像度が上がります。確かに理想的な伝送方式といえるほどの効果はあります。プリメインアンプでこれほどの違いを感じられるわけですから、パワーアンプに接続した場合は更に大きなグレードアップが期待できます。

しかし前述しましたように、現在電流伝送(ES-LINK Analog)に対応しているパワーアンプは最上位モデルのGrandioso M1X(税込5,280,000円/1ペア)しかありません。それでもモデルチェンジのタイミングで対応していくと思いますので、将来の楽しみではあることに間違いありません。エソテリック同士の組合せをご希望の場合は、その日を心待ちにしながら現在のパワーアンプあるいはプリメインアンプを使い続けるというのが現実的な選択になろうかと思います。

N-05XDは当店で常設展示をしておりますので、いつでも自由にお聴きできます。お好きな音源をお持ちいただいてのご試聴をお待ちいたしております。