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Sonus faber Lumina Ⅴ Amator 試聴記


Lumina Ⅴ Amator

Sonus faber のLuminaシリーズは2020年11月の発売で、小型ブックシェルフのLumina Ⅰと、トールボーイ型のLuminaⅢの2機種で登場しました。発売当初の1セット価格はLuminaⅠが税込定価108,900円、LuminaⅢが税込定価275,000円と手頃なプライスで好評を博したのですが、2度の価格改定を経て、現在はLuminaⅠが税込定価148,500円、LuminaⅢが税込368,500円と結構いい値段になってしまいました。それでもこのところのあらゆる製品の価格高騰を見れば、ある程度は仕方ないのかなというようなあきらめムードにもなってしまいますね・・・。

そんな中で、Luminaシリーズの上位モデルが発売になりました。ブックシェルフ型のLuminaⅠの上位モデルがLuminaⅡAmator(税込定価272,800円)、トールボーイ型のLuminaⅢの上位モデルがLuminaⅤAmator(税込定価638,000円)という価格になりました。
正面バッフルの仕上げ色は、レッド・グロス/ウォルナット・グロス/ウェンゲ・グロスの3色です。当店ではLuminaⅤAmatorのレッド・グロス仕上げを早速展示いたしました。

Accuphase E-4000 プリメインアンプ

サイズ的にはLuminaⅢよりも一回り大きい感じで、存在感があります。色目はレッドをチョイスいたしました。落ち着きのある色目であるのと、木目を45°の角度に合わせながらグロス塗装を施した印象的なバッフル面になっております。この手法は同社の上位モデルのStradivari G2 AnniversaryやAmati G5に初めて採用されたデザインでもあります。

内部構造についても、Lumina V Amatorの中高域の内部チェンバーは、Sonus Faberの上位モデルで採用される“リュート形状”を模した密閉型となっており、内部定在波を制すると共に、剛性の向上とウーファーの背圧の影響を排除しており、より自然で繋がりの良い艶やかなサウンドを実現しています。ウーファーは165mm径ペーパーコーンのダブルウーハーで、自然乾燥させた数種の天然繊維をブレンドし、ナチュラルな低域再生を可能とする、高耐入力ダイアフラムを採用。低周波数帯の余裕ある再生を実現するため、高剛性バスケットを使用しています。また、底面に配置されたバスレフポートがスピーカーユニットの背圧を適切に制御することで、豊かな低域を360度方向に拡散させます。

さてここからは試聴に入ります。
アンプは、Lumina ⅤAmator 1セット分と同価格帯のアキュフェーズのプリメインアンプE-4000 (税込定価693,000円)で鳴らしてみました。尚、SACDプレーヤーはESOTERIC K-05XD (税込定価1,045,000円)です。
それでもアンプとスピーカーで、130万円オーバーの「いい値段の組合せ」にはなりますが、コストパフォーマンス的には、ベストサウンドと言ってもいいくらいの組合せだと思います。
価格的にはこのクラスのアンプと組み合わせるのが常識的なチョイスとなるものと思われます。組み合わせるアンプによってスピーカーの鳴りかたは大きく変化するのは当たり前ですが、常識的な組み合わせとしてはベストチョイスと言えるものではないかと思います。
日本の一般的な家庭で音楽を楽しむというスタンスで考えれば、十分なクオリティは感じられると思います。サイズ的・価格的な面で考えても、LuminaⅢの上位モデルに当たる製品であり、クオリティ面で求められる要素は多々ありますが、全体としてはうまくバランスの取れた「大人の音」というのが第一印象でした。中低域の厚みとナチュラルな高音域はSonus faberらしい、穏やかで奥ゆかしいサウンドでありました。

このスピーカーの魅力をより引き出すために、クラシックを中心に楽曲を選び、ジャズ・ポピュラー系はヴォーカルを中心に、アコースティックなサウンドの再現性を引き出してみたいと思います。

➀ コダーイ/無伴奏チェロ・ソナタ / ヨー・ヨー・マ
  チェロの低音の響きが豊かで、大変美しいサウンドでした。
➁ ドヴォルザーク/交響曲第9番「新世界より」 
  オーケストラのスケール感が素晴らしく、圧倒されました。
➂ バッハ/前奏曲とフーガ 「プレリュード」 / アレシュ・パールタ (オルガン)
  パイプオルガンの重低音の響きが素晴らしいです。
➃ ディセンバー/サンクスギビング / ジョージ・ウィンストン (ピアノ)
  タイトル通り、12月の凛とした空気感が伝わってくるようなピアノの響きに圧倒されます。
➄ LIVE ! Concert Hall Side/ Amazing Grace / 綾戸 智絵 (ピアノ)
  ホールの残響時間が2.2秒と長い、札幌市のキタラホールでのライブ録音です。
  この残響時間の長さと綾戸智絵のパワフルなヴォーカルが独特のライブ空間を醸し出します。
➅  LIVE IN STUDIO / HOW DEEP IS YOUR LOVE / FRIENDS OF CATALTTA
  スタジオ収録のポピュラーミュージック集ですが、なかなかの優秀録音盤です。ライナーノートの写真を
  見るとかなり録音にはこだわって 製作されたようです。

このLuminaⅢとLuminaⅤAmator は、エンクロージャー底面に結構な口径のバスレフポートがあり、ここから全方向に向かって低域の音圧を拡散する仕組みになっております。このバスレフポートはスピーカー背面のポートよりは背面の壁の影響を受けにくいメリットがありますが、付属しているスパイクとスパイクプレートでは(音量によっては)高さが足らず、低域がこもりがちになりそうな気がします。特に付属のスパイクプレートはかなり小さいものですので、もう少し高さがあって振動対策がしっかりしたもの(タオック やアンダンテ・ラルゴなど)を使うとよりパフォーマンスが向上すると思われます。特にLuminaⅤAmatorは上位モデルなので、こうしたセッティングによる変化はかなり大きいと思います。
もう一つ申し上げれば、床とスパイクプレートの間にオーディオボードを敷くと更に音は締まります。但しボードの材質と構造によっては、低域を締めることによる音色の変化が結果的にこのスピーカーの音色的特徴を薄める方向になる場合もありますので、このあたりはご自身の好みによってセッティングの調整をしたほうがいいかも知れません。

試聴の最後は、アンプを当店のリファレンス・セパレートアンプのアキュフェーズのC-2900プリアンプ(税込定価1,540,000円)と、P-7500パワーアンプ(税込定価1,485,000円)の組合せで聴いてみました。
特にセパレートアンプは両方合わせて300万円と、スピーカーの5倍ほどのプライスとなっておりまして、常識的にはこうした組合せは考えられないのですが、実際につないで聴いてみますとやはりアンプの駆動力の差を感じました。低域の押し出しの強さの違いといってもいいかも知れません。それと高域の滑らかさの違いも感じました。それを一言で言うと「上質な音になった」ということでしょうか。さすがにLuminaⅤAmator のポテンシャルを最大限引き出してもらって聴いたサウンドは「素晴らしい!」の一言でした。

Sonus faberというと、相性のいい音楽ジャンルはクラシックや女性ヴォーカル等のアコースティック系のものが頭に浮かびますが、ジャズやフュージョン系の音楽もうまく鳴らしてくれます。こうした音楽ジャンルに対する相性よりも、良質なアンプと組み合わせて鳴らしてあげることによって音楽全体のパフォーマンスアップに貢献できると思います。

最近はオーディオに限らず、全ての製品の価格上昇が顕著で、その中でもオーディオの高級品は一般のオーディオ愛好家の方では手に入れることができないほどのウルトラハイエンドともいうべき製品が多くなっております。そうしたなかで、このLuminaⅤAmatorは一般のオーディオファンの方にもそれほど負担なく使っていただける数少ない製品の一つだと思います。
外観の仕上げの良さも含めて、一般のオーディオファンの期待には十分応えてくれる製品に仕上がっていると思います。是非この機会にご自身の愛聴盤をお持ちいただいて、そのサウンドをお聴きいただければ、このスピーカーのコストパフォーマンスの高さを十分に感じていただけるものと思います。お待ち申し上げております。