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ESOTERIC Grandioso K1X 試聴記


 このところESOTERICのSACDプレーヤーの試聴が続いていますが、お客様の試聴希望で今度はGrandioso K1Xをお借りいたしました。

 K-01XDとK-03XDのベースモデルとなったGrandioso K1Xですが、Grandiosoシリーズという超ハイエンド商品群の製品だけあって内容的にも価格的にもKシリーズとは一線を画すモデルでありました。

 まず特徴的なのはフロントパネルの上下と左右に湾曲したカーブです。パネルの厚みといい、中央の幅が狭い部分と両端に向かって広がるパネルの幅に応じて彫り込まれているラインの間隔の変化といい、非常に複雑なパネル加工を施してあります。イギリスのdCSが同じようなデザインを用いていますが、ESOTERICのほうがはるかに高度なパネル加工を施しています。それゆえデザイン的には好みの分かれるところかもしれませんがゴージャス感は満点です。

 Grandioso K1XはESOTERICのSACDプレーヤーの最高峰のGrandioso P1X/DX1で開発したVRDS ATLASドライブメカとMaster Sound Discrete DACを一体型プレーヤーに組み込んだモデルです。ドライブメカはP1Xと同一のものですが、DACはスペースの関係で同一のものはさすがに無理ですが、1chあたり32のエレメントで構成される基本構造は変わりません。Grandioso P1X/DX1はトランスポートと電源部、そしてL/R独立のモノラルDACと合計4筐体で700万円とウルトラハイエンドの世界で一般の方には到底手が出ません。Grandioso K1Xでも280万円と一般庶民には購入対象にはなり得ませんが、1ボディで完結という意味でいけばCD再生に情熱を燃やす方々ならば思い切ってという選択はあるのかも知れません。

 Grandioso P1X/DX1はトランスポートと電源部、そしてL/R独立のモノラルDACと合計4筐体で700万円とウルトラハイエンドの世界で一般の方には到底手が出ません。Grandioso K1Xでも280万円と一般庶民には購入対象にはなり得ませんが、1ボディで完結という意味でいけばCD再生に情熱を燃やす方々ならば思い切ってという選択はあるのかも知れません。
 また前作のGrandioso K1は、メカがVRDS-NEO[VMK-3.5-20S]、DACは旭化成AK4497を片チャンネル2個使いですので、完全に一世代前になってしまいました。ハイエンド機の技術革新はいいことですが、前モデルのことを考えるとちょっと辛いものがありますね。まあその分50万円も価格が上がっているので、これもしょうがないかなと思ってしまいます。

 さて肝心のGrandioso K1Xの音質ですが、一言でいうと「別次元の音」でした。
 K-03XDの時に感じた若さ溢れるサウンドと、K-01XDの時に感じた良くコントロールされた大人の音という違い以上の、力強い低域と滑らかでかつ落ち着きのある中高域で、「円熟味」を感じさせる安定感が最大の魅力です。一つ一つの音がどうのこうのという意識がなくなり、ひたすら音楽の世界に没頭できるほどの表現力というか再現力の高さに驚きを禁じえませんでした。録音のいいSACDディスクでも、普通の録音のノーマルCDでも音楽の世界に入り込んで聴くことができました。これはなかなか味わうことができない体験でした。過去に同じような体験をしたのはスイスのハイエンドメーカーであるCH PrecisionのD1 Dual mono(476万円!)だけです。これも色彩の濃い音楽が楽しめて素晴らしいと思いましたが、それに匹敵するくらいのパフォーマンスだと個人的には思いました。

 一体型SACDプレーヤーとしては国内最高性能と最高価格のモデルですが、その音質的魅力はこの機種でしか味わえないものが確かに存在することを認識できた今回の試聴でした。