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ELAC SOLANO FS287 試聴記


お客様の試聴リクエストもあって、ELACのSOLANO 280シリーズの中からFS287をお借りいたしました。ちなみにSOLANOはスペイン語で「風」の意味だそうです。ついでに上位モデルのVELAは「帆」、下位モデルのCARINAは「竜骨」(船底の隆起部)とのことです。

久し振りにELACのスピーカーを聴きましたが、トールボーイ型のSOLANO FS287は上位モデルのVELA FS407のエッセンスを受け継いで、ペア50万円クラスのスピーカーとしてなかなか出来の良い製品に仕上がっている印象を受けました。

ツイーターユニットはJETツイーターの最新バージョンのJETⅤ(ジェット5)で、このツイーターにごく浅いすり鉢状のアルミダイキャスト製のウェーブガイドを装着して、指向特性の最適化を図っており、ウーハーユニットとのクロスオーバーポイントも前作のFS267よりも100Hz下がって2400Hzとなっており、ツイーターの影響力が強くなっております。ウーハーユニットの場合はあまり上の帯域まで使うと分割振動の問題があるため低い周波数でクロスさせたほうがまとめやすくなります。

NEW AS-CONEウーハー

また150㎜口径のウーハーユニットは、こちらもアルミダイキャスト製のバスケットフレームを採用し、高剛性を確保しております。なおこのクラスでは初めての高剛性フレーム構造とのことです。またウーハーユニットのダイアフラムはアルマイト処理されたアルミとペーパーコーンのハイブリット構造となっており、ニュートラルで自然な低域再生が楽しめます。個人的にはFS267のクリスタルラインの施されたAS-XR CONEウーハーのタイトで引き締まった低音再生が魅力的でしたが、ナチュラルなサウンドという点においてはFS287に採用されたNEW AS-CONEウーハーに軍配が上がりそうです。

FS287も前作と同じようにエンクロージャー底面にバスレフダクトがあり、その気流が底面から4方向に広がっていくのですが、今回はベース部分が堅牢なアルミ製のプレートに進化しており、低域エネルギーをしっかりと受け止めます。このあたりの構造はFS407から受け継いだもので、低域のクオリティアップに大きく貢献していると思われます。

輸入元からデモ機をお借りして、お客様にも聴いていただいたのですが、なかなか鳴りっぷりも良く、お客様も気に入っていただいたこともあって、展示導入することにいたしました。

Accuphase E-480

その展示分がつい先日入荷してきました。デモ機と違って鳴らし込みもしていない状態ですのでまだ馴染んでいない状態ですが、低域の量感や厚みはなかなかいいものがありますね。ツイーターがまだこなれていないので、これが馴染んできたら更に一皮むけた音場感が楽しめるものと思われます。

当店にはSonus faberのLUMINA Ⅲが展示してあります。このスピーカーは税込定価275,000円(1セット)という価格ながら、音の良さと仕上げの高級感で世界的な大ヒットになっている製品です。これと同じくらいコストパフォーマンスに優れている商品だと思います。税込定価506,000円(1セット)ですので実勢売価は1セット450,000円を切るくらいの価格になるかと思いますが、この価格帯では断トツのクオリティと言っていいと思います。

様々な音楽ジャンルを聴きましたが、強く感じたのは均整の取れたサウンドバランスの良さでした。低域の量感があるので、形の良いピラミッドバランスが楽しめます。高域はJETツイーター特有のヌケのいい、ストレスのない心地良い臨場感が味わえます。

試聴は当初PRIMAREのI 15 PRISMAで鳴らしたのですが、少し窮屈な感じがあったのでAccuphaseのE-480に替えて鳴らしたところ、音が激変しました。音の深みや音場の広がりが素晴らしく、このクラスのスピーカーはアンプの選択が重要であることを改めて感じました。
このE-480は税込定価605,000円ですので、価格的にもベストマッチだと思います。あとは音色の好みだと思いますが、ELACの豊かな低域と見通しの良い音場感はAccuphaseとの相性が非常にいいと思いました。

そこで更に、当店のリファレンスアンプであるAccuphaseのC-3850プリアンプとA-75パワーアンプにつないで鳴らしてみたところ、これがびっくりするほどの変貌を遂げました。一番驚いたのはコダーイの無伴奏チェロ・ソナタをかけた時でした。チェロの同鳴りと演奏者(長谷川陽子)の息遣いのリアルさは鳥肌ものでした。ここまでリアルに再現されるとは想像していなかったので本当に驚きました。それだけ潜在能力を秘めているということであり、アンプのグレードを上げればこれだけ音楽の表現力が上がるということを改めて思い知らされました。このスピーカーが持っているポテンシャルの高さを認識した次第であります。

FS287は当店で常設展示をいたしましたので、ご興味のある方はお好みのディスクや音源をお持ちいただいてそのサウンドを是非ご体験くださいませ。