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EPOS ES-14N 導入記


2、3ヶ月前のある日、突然新しいスピーカーシステムが入ってきました。海野店長に聞くと「いやあ、この前タクトシュトックの庵さんが来て、このスピーカーを聴かせてもらって、粘りに粘られて最後は根負けして展示することにしたんだよ。」ということで、予期してない展開にびっくりしたのでありました。ウェブや雑誌などでは、こうした製品を庵さんが取り扱うという話は伺っておりましたが、まさか展示機が入ってくるとは個人的には予想もしていなかったので、本当に驚きました。

EPOS ES-14

このEPOSというブランドは、1983年にイギリスのロビン・マーシャルが設立したスピーカーブランドですが、私は全然知りませんでした。このES-14という2ウェイのブックシェルフスピーカーはごく普通の2ウェイスピーカーですが、本国では評価は良かったようです。
そして現在に至るまで、モダン・ショートやクリークの傘下に入ったりしながら、2020年にEPOSブランドの商標をFINK Teamのカールハインツ・フィンクに売却しました。
そして2年の開発期間の後に、昨年のミュンヘン・オーディオショーで新生ES-14というべきモデル「ES-14N」を発表しました。

このES-14NはベースモデルのES-14と同じく、7インチウーハーと28mmドームツイーターの2ウェイスピーカーというところは変わりませんが、フロントバッフルはスラントさせており、ユニット間の時間軸を合せております。ウーハーユニットの振動板はポリプロピレンで部分ごとに厚みを変えて分割振動を抑制しております。センターのダストキャップは使用せず金属製のフェーズプラグ採用しています。ツイーターも専用設計で、アルミニュウム合金ドームをセラミックでコーティングして、マグネットはフェライトで銅キャップを追加しています。
またエンクロージャーは2層のMDF材で、独自のダンピング材を挟んで2層を接着して、振動を抑制しています。また背面のバスレフポートは中央部に丸い開口部を複数設けており、不要な共振を抑制しています。エンクロージャーに関しては、ウーハーとツイーターの時間軸を合わせるため後方にスラントさせていますが、全体的には古典的なフォルムで最近流行りのラウンドフォルムではありませんが、奏でるサウンドにはそうした古典的な要素は微塵も感じません。このあたりが「フィンク・マジック」ということなのでしょう。

試聴は、まず価格と大きさを考慮してアキュフェーズのプリメインアンプ、E-4000(税込693,000円)がちょうどいいと考え選択しました。試聴ディスクはCDでジャズ/クラシックそれぞれ2枚ずつです。

試聴して最初に感じたことは、低域から高域までのエネルギーバランスが整っていることでした。このサイズの2ウェイスピーカーですと、低域のエネルギーはあっても高域が痩せていたりとか、またはその逆だったりということがあったりしますが、このスピーカーは「見事なバランス」で音楽を奏でます。最新素材を使っているわけではないのですが、新しい知見で従来の素材に独自のリファインを重ねて完成した製品を聴くと、思わずニヤリとしてしまうほどの出来栄えの良さを感じてしまいます。
➀CUBIC MAGIC / THREESOME より「My Favorite Things」
ギターとピアノのデュオに、ボーカルにはマリーン(懐かしい!)が加わっています。
ギターとピアノの定位感も良く、ボーカルの口元が締まっていて、音場感が素晴らしいです。
②Basie is Back / COUNT BASIE Orchestra より「One O’Clock Jump」
2005年の仙台でのカウントベイシーオーケストラのライブアルバム
サイズを超えた低域の厚みと安定感が素晴らしいです。
③リムスキー・コルサコフ / シェラザード
繊細かつ緻密な表現で、音場感・定位感が感じられます。
➃コダーイ 無伴奏チェロ・ソナタ / 長谷川陽子
チェロの十分な低域の厚みと音場の広さが魅力的です。

価格的につり合いが取れているとはいえ、アキュフェーズのC-2900/P-7500のセパレートアンプがあるので、そちらにもつないで鳴らしてみました。いやあ、思った以上に激変しましたね!やはり躍動感が違います。スピーカーが気持ち良く鳴っている感じです。
これだけ敏感に反応するということは、このスピーカーはある意味モニタースピーカー的要素を持っているのかも知れません。接続する機器によるクオリティの差に敏感に反応するということはそれだけ素性のいいスピーカーということが言えると思います。このあたりのチューニングも「フィンク・マジック」なのでしょうね。

外観だけで判断すると何の変哲もない普通のブックシェルフスピーカーですが、適切なアンプで鳴らしてあげれば、それに応じたサウンドを提供してくれる懐の深さを持ち合わせている製品だと思いましたね。最近のオーディオ機器の価格高騰はとどまるところがありませんが、そうした中で専用スタンド付で税込880,000円というプライスはコストパフォーマンス的には非常に優れた製品だと思います。

ご興味をお持ちになった方は、是非一度お好きな音源をお持ちいただいてご試聴してみて下さい。きっと驚かれると思いますよ!