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Sonus faber Electa Amator Ⅲ 試聴記


Sonus faberの輸入代理店であるノアよりElecta AmatorⅢのデモ機が届きました。これは1983年創業のSonus faberの35周年記念モデルとして登場しました。

オリジナルのElecta Amatorといえば、日本におけるSonus faberの輸入代第1号の製品であり、その美しいエンクロージャーと緻密な作り込みで、Sonus faberのブランドを一躍有名にした記念碑的存在です。日本での発売は1988年で、当時の価格で1ペア62万円(別売スタンド込み)でしたが、Electa AmatorⅢは1ペア130万円(専用スタンド付属)で倍以上の価格です。しかし30年前の貨幣価値と現在の差、そして今回はスピーカー底面とスタンドのベースにイタリア北部のカッラーラ産の白大理石を使うなどしてコストもかかっており、ある程度はやむを得ないのかなと思います。なおこの大理石はオリジナルモデルのものよりも遥かに上等品です。

箱から出して最初に感じたのは、サイズが大きく重たいということでした。しかし調べてみるとサイズ・重量ともオリジナルモデルとほとんど変わらないことが判明。どうもその後発売されたMinimaやMinima Amatorなどの小型サイズのイメージが強すぎて、改めてElecta Amatorのサイズ感に驚いた次第です。

では概要をオリジナルモデルと比較しながら見ていきましょう。なおオリジナルのElecta Amatorの後、1999年にElecta AmatorⅡ(1ペア70万円)が発売になっています。背面にバスレフダクトではなくパッシブラジエーターを装着したモデルですが、あまり評価はされなかったようですのでここではオリジナル機との比較をしていきます。
まず、エンクロージャーですが、オリジナルはハラカンダ材(ブラジリアン・ローズウッド)の無垢材です。(現在この素材はワシントン条約で取引が禁止されています)Electa AmatorⅢはウォルナットの無垢材を使用しています。またAmatorⅢは底面にカッラーラ産の白大理石を採用して、音質面だけでなくビジュアル的にもアクセントになっています。

ツイーターユニットはオリジナルがDynaudio 製、ウーハーユニットはScanspeak製ですが、AmatorⅢは同社が独自に開発した 2.8㎝アローポイントDADツイーターで、背面には無垢材を使用した音響迷路を成形している専用チェンバーを有しています。18㎝ウーハーユニットは本機専用設計で、ダイアフラムはセルロース・パルプを自然乾燥させた素材をブレンドしたカスタムメイドです。背面を見るとバスレフダクトがオリジナルのものよりかなり大きくなっています。そのせいかサイズの割には低音域の伸びも良く、低域の不足感はあまり感じませんでした。専用スタンドですが、オリジナルは木製で上下にずらせて高さを15㎝ほど変えられましたが、AmatorⅢはスチール製で内部に制振材が充填されています。これも低域の程よい締まりと伸びを感じさせてくれる要因の一つと思われます。

試聴はクラシックを中心に行いました。オリジナルのElecta Amatorを聴いたのはずいぶん前のことですが、上品なたたずまいとゆったりと優しい音が心に残っております。最新のElecta AmatorⅢは上品なたたずまいは変わりませんが、音色は現代のハイエンドスピーカーに共通する要素、具体的には定位の明確さ・音場の広がりや空気感といったものは十分表現できています。それにプラスしてこのスピーカーならではの魅力は「温度感」だと思います。そこがB&Wに代表されるモニタースピーカーとの一番の違いになります。特にクラシックファンの方はこの緻密なサウンドの中での適度な温度感はたまらない魅力ではないでしょうか。
またSonus faberというとクラシックというイメージが強いと思いますが、最近の同社のサウンドは音楽ジャンルの適応力が格段に上がって、ジャズ系なども違和感なく楽しめます。このあたりは創業者のフランコ・セルブリンの頃と微妙に変化して、よりグローバルな世界を目指しているように思います。しかしその中にSonus faberのDNAがしっかり受け継がれているところはさすがに名門ブランドです。
最後に一つ情報です。昨日までドイツのミュンヘンでオーディオショーが行われていましたが、Sonus faberのブースでMinima AmatorⅡがお披露目されていたようです。ウーハーサイズは15㎝でElecta AmatorⅢのダウンサイジング版です。スタンドにはAmatorⅢ同様白大理石のベースが使われています。本国で6月より発売されるようですが、価格情報はまだありません。日本での発売時期や価格もまだわかりませんが、私の予想としては100万円前後ではないかと思います。こちらも魅力的な製品ですので、ご紹介させていただきました。