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Accuphase E-480 試聴記


アキュフェーズよりプリメインアンプの新製品E-480がリリースされましたので、デモ機を借りて試聴しました。

前作のE-470から4年が経ち、リファインされてE-480となりましたが、価格が55万円と5万円アップとなり、高くなったなあというのが最初の印象でした。(ちなみにE-460からE-470へのモデルチェンジは2万円アップでした) カタログデータ上はダンピングファクターが500から600に上がったことくらいで、あまり変化はありません。しかし良く読み解いていくと、AAVA方式ボリウムの最大ゲインの「V-I変換アンプ」が4回路並列になって余裕度と信頼性がアップしていたり、アナログ式ピークメーターが-50dBからの表示になって小音量時にもメーターの振れが良くわかるようになっています。ダンピングファクターは駆動力に直結しますので、音質アップにはかなり貢献していると思いますが、残念ながらE-470をこの店で鳴らしたことがなかったので、E-480との違いを実感することは難しい状況です。

そこで、単純にスピーカーにつないで音の感触を確かめることにしました。スピーカーはMONITOR AUDIOのPL-200Ⅱ(ペア110万円)、音源はCDでESOTERIC K-05Xs(65万円)で試聴開始です。
試聴CDは以下の4枚です。
①BEST AUDIOPHILE VOICES SELECTION (FIELDS of GOLD / EVA CASSIDY)
②BASIE is BACK / COUNT BAISIE ORCHESTRA
③無伴奏チェロ組曲第1番前奏曲 / マーティン・ツエラー
④交響曲「シェラザード」/ フィリッツ・ライナー指揮 シカゴ交響楽団 

Accuphaseはもともと解像度が高く、すっきりと見通しのいい音が特徴ですが、E-480はそれが際立っている印象を受けました。音離れが良く、サウンドステージが広がる小気味いい鳴り方で、全帯域に渡って緩みのない、キリッと締まった音でした。好みによってはやや硬質な感じに受け取られるかもしれませんが、左右方向の広がりに加えて前後の奥行き感もリアルに広がり、現在のハイエンドオーディオの主流を行くような好ましい変化ともいえるものでありました。

そこで当店に常設展示しているmarantz PM-10(60万円)との比較をしてみました。価格帯もほぼ同じでライバル機種となる製品です。この製品の最大の特徴はパワーアンプ部にHypex社製 NCoreR NC500スイッチングアンプモジュールを採用したことです。このモジュールを片チャンネルあたり2基、計4基使用しています。
PM-10の音の傾向は大枠ではE-480と同じ傾向ですが、若干ソフトタッチというか一つ一つの「音のカド」がうまく削られているような感じを受けました。そのため柔らかいというと語弊があるかも知れませんが、一言で言うと「やさしさのある音」でした。またスピーカーの駆動力という点では両者とも十分なものがあると感じました。

まあこのあたりの音色の肌合いに関しましては、リスナーの好みの範囲内といえるもので、良い悪いというよりは好き嫌いで判断していいものだと思います。当然スピーカーが持っている音色的キャラクターによって大きく変化をしますので、ご自分の持っている感覚・感触を頼りに選択していただければよろしいかと思います。

このところ一言にプリメインアンプといっても、国産品でもESOTERIC Grandioso F1 のように200万円を超える製品があったりとハイグレード化の傾向にありますが、その中で50万円前後のプリメインアンプは、AccuphaseやLUXMANやmarantzなど、一般家庭で使用されるスピーカーを鳴らすには十分のクオリティを有しており、ある意味コストパフォーマンスに優れた製品ともいえる力作が揃っております。今の時代、セパレートアンプは一般のオーディオファンの方には敷居の高い存在になってしまっているので、このクラスのプリメインアンプがもう少し正当に評価されて、注目を浴びてもいいのかなと思った今回の試聴でした。