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Accuphase DP-560 試聴記


Accuphase DP-560

Accuphaseの一体型SACDプレーヤー DP-560をじっくり聴かせていただきました。
この製品は前作DP-550の後継モデルとなります。DP-550とDP-560の一番の違いはDACチップです。DP-550はESS社のES9008を4回路並列で使用。DP-560は同じESS社のES9018を4回路並列で使用。両方とも8chDACチップなのでL/Rで1個のチップを使用します。そうすることによって歪率や雑音特性などが約2倍(√4倍)アップします。ES9018といえばハイエンドDACチップとしてあまりにも有名で、Accuphaseのセパレート型SACDプレーヤーのデジタルプロセッサーDC-901で初めて採用されました。このDC-901はこのチップを片チャンネルあたり2個使って合計16回路並列という大掛かりな構成になっておりました。この高性能DACチップを1個とはいえDP-560に採用したことは時代の流れといえましょう。ちなみにDP-720ではこのチップをL/R独立で2個採用しています。
余談になりますが、この世界最高の性能を誇ったES9018も昨年ES9038PROという新しいチップに世代交代をしました。このチップを初搭載したのがDC-901の後継モデルDC-950となるわけです。現在のハイエンドDACチップといえばこのES9038PROか旭化成エレクトロニクスのAK4497といわれています。AK4497はESOTERICのGrandioso K1で初搭載されました。またLINNのKLIMAX DSの最新バージョンにも搭載されました。

さて本題のDP-560の音質ですが、DP-550との比較はできませんでしたが、marantzのSA-10との比較をしました。
SA-10はこのブログでも紹介をいたしましたが,、従来のマランツサウンドと趣を異にして、音の見通しの良さと定位感が素晴らしいと思いました。DP-560は、中低域の厚みを感じさせる安定のサウンドですね。この安定感こそが歴代の製品に脈々と受け継がれる正常進化のベースになっているサウンドだと思います。そのベースに加えてダイナミックレンジや低域から広域までの音の広がりも過不足なくうまくまとめているといえます。
INTERLUDE (ACOUSTIC MOOD ORCHESTRA 廃版) の9曲目 Lately は男女のデュエット曲ですが、ヴォーカリストの口もとはSA-10の方がはっきりと出ます。DP-560はベースの弾む感じが心地よく感じます。DP-560のベースは量感もあって聴きごたえのある感じですが、ローエンドの伸びはSA-10の方があるように思います。
AUTUMN IN SEATTLE (山本 剛トリオ FIMSACD040) の4曲目 Misty はバラード調ではなくアップテンポの軽快なアレンジですが、ピアノはDP-560の方が柔らかく聴こえます。一方SA-10は繊細で鮮度感のあるピアノになります。

この2機種は60万円と価格も同じですが、音色の違いが結構あってというか、両社の音の傾向が逆転しているような印象があって面白いなと思いました。というよりはDP-560は従来の路線の延長上にあり、それ故に感じる安定感なのだと思います。それに対してSA-10は新しい技術的アプローチにより一皮むけた製品に仕上がっている感じがします。この選択はクオリティの差ということではなく、それぞれのユーザーの好みにより分かれるということになるでしょう。ちなみに今回使用したスピーカーはSonus faber OLYMPICAⅢですので、試聴記の印象はこのスピーカーに対してのものであることをお断りしておきます。      (記 遍照)