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CHORD COMPANY PowerARAY Professional 試聴記


PowerARAY Professional 正面

PowerARAY Professional 背面

PowerARAY Professional

先日、輸入元のアンダンテラルゴからイギリスのCHORD COMPANYのPowerARAY Professionalのデモ機が届きました。
CHORD COMPANYといえば、各種ケーブル類の他に、アンプの入力空き端子に接続してノイズを吸収するGrandARAYや、電源コンセントの空き端子に接続してノイズを吸収するPowerARAYが好評ですが、この度Power ARAYの決定版といえるPowerARAY Professionalが発売になり、話題になっていまして、一度聴いてみたいと思っていたので、グッドタイミングでした。何が話題になっていたかというと、税込定価で880,000円という価格です。何の変哲もない黒いボックスに80㎝程の電源ケーブルと電源プラグが付いたもので、この小さいボックスでなぜ880,000円もかかるのかというのが不思議でした。

ACOUSTIC REVIVE RPC-1K

それでもオーディオ雑誌の評論家の先生方の音質評価はほとんどベタ褒め状態で、「ホンマかいな?」という懐疑的な気持ちでの試聴となりました。

しかしながら聴いてみてびっくりしました。やはりそれなりの違いはあったのです!
試聴は全てCDとSACDディスクで行いました。
また当店はアコースティックリバイブの特約店になっておりますので、同社のRPC-1K(税込定価341,000円)が同じような仕組みの製品ですのでこちらの商品との比較試聴もしてみました。

➀ FIM Audiophile Reference Ⅳ より 「Georgia on My Mind」 (CD)
このディスクはなかなかの高音質ディスクですが、ヴォーカル/中本マリ、ギター/渡辺香津美
ベース/鈴木 勲によるTBM(スリー・ブラインド・マイス)時代の録音です。
PowerARAY Professionalを接続すると音が澄んでくるのが分かります。RPC-1Kでも同じような効果がありますが、効果はPowerARAY Professionalのほうが上回っている感じがします。

➁ DIANA KRALL / THE GIRL IN THE OTHER ROOM より 「Temptation」 (SACD)
 冒頭のベースソロが聴きどころでした。PowerARAY Professionalを通した音は切れ味鋭く迫ってきます。RPC-1Kを通すと切れ味というよりもベースが前に出る感じがします。

➂ 五嶋みどり / ENCORE! より 「エルガー:朝の挨拶」 (CD)
 両方ともバイオリンの音色がすばらしく、立体感あふれるサウンドでした。ピアノの粒立ちも良いです。RPC-1Kを通すと音に厚みが出ますが、立体感としてはPowerARAY Professionalのほうがあるような気がします。

➃ CAROL ROSENBERGER / DYNAMIC PIANO より ベートーヴェン Sonata Op.57 (SACD)
ベーゼンドルファーのインペリアル・コンサートグランドを使用した、タイトル通りのダイナミックなピアノソナタです。ただでさえダイナミックな演奏が、PowerARAY Professionalを通すとピアノの響きと立体感、そして透明感がさらに増します。RPC-1Kを通すと響きや透明感よりも音の太さが際立ちます。

➄ 佐山雅弘 / PLAY ME A LITTLE MUSIC より 「MY FAULT」 (CD)
 ジャズピアニスト佐山雅弘の1986年のリーダーアルバム。村上ポンタ秀一(Ds)、グレッグ・リー(E-b)、米木康志(Ac-b)によるピアノトリオです。残念ながら佐山雅弘は2018年11月に、村上ポンタ秀一は2021年3月に、それぞれ亡くなってしまいました。タイトル通りの小粋なジャズアルバムとして、私のお気に入りのアルバムです。特段の高音質盤ではありませんが、こうした普通のディスクのほうが音の違いが良くわかるような気がしました。
PowerARAY Professionalを通すと音場空間が引き締まって緻密な感じになります。RPC-1Kを通すと低音の量感が出て音楽が楽しくなります。

全体的な総括としましては、PowerARAY Professional、RPC-1Kともに音質的アドバンテージは十分に感じられました。
ただそれぞれに音質的改善方向に違いがあるように思いました。
CHORD COMPANY PowerARAY Professionalは低域方向の音の締まりが素晴らしく、響きの美しさと解像度の高さを十分に感じました。この傾向は現代のハイエンドオーディオが目指している方向性と完全に一致しています。
一方、ACOUSTIC REVIVE RPC-1Kは、PowerARAY Professionalとは少し音の傾向が違っているようです。まず音が太くなる傾向があります。Power ARAY Professionalほどの解像度の高さは感じられず、響きのきれいな音というよりは、低域の量感が出てエネルギッシュなサウンドに感じられます。強いて言えば録音現場のミュージシャンやレコーディングエンジニアが求めるような音というような感じがします。
音質傾向の違いはそれぞれの好みで選択をすればいいと思うのですが、価格の違いは現実問題としてあります。ほぼ倍の違いがありますが、クオリティに倍の違いがあるかといえば難しいかもしれません。ただ現在のハイエンドオーディオが目指している方向性としてはCHORD COMPANYの方なのだろうと思います。今回の試聴でも、「すごいな!」と思ったのはCHORD COMPANYの方でした。しかしそのために倍のお金を払うかといえば、なかなか難しいでしょう。このあたりはただ単純に価格の問題ではなく、どういう方向にサウンドをカスタマイズしていくかというリスナー自身の好みの世界を探求していくのだと思います。