グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



ホーム >  ブログ >  Accuphase C-3900 試聴記

Accuphase C-3900 試聴記


C-3900

アキュフェーズの新作プリアンプ C-3900を聴きました。
1972年創業のアキュフェーズは2022年で創業50周年になります。その50周年記念モデルの第2弾になります。10年前の40周年記念モデルの時も、その2、3年前から記念モデルをラインナップしていき、40周年の年にそれぞれのカテゴリーの記念モデルが出揃うというスケジュールで行っていました。50周年も同じようなスケジュールでナインナップしていくようです。ちなみに50周年記念モデルの第1弾は昨年発売しましたプリメインアンプE-800です。このE-800は当ブログでもご紹介しましたが、アキュフェーズのプリメインアンプ史上最上位ランクの製品となりました。

今回のC-3900は40周年記念モデルとして発売したC-3800の流れをくむ最新モデルとなります。このC-3800も10年前はアキュフェーズのプリアンプ史上最上位ランクの製品としてずいぶん話題になりました。

アキュフェーズは2002年に開発した革新的なボリウムコントロール回路「AAVA」(Accuphase Analog Vari-gain Amplifier)を初搭載したC-2800を発売します。このボリウム回路は可変抵抗体を音楽信号が通らないため、インピーダンス変化による影響を受けずに、高SN比と低歪率を維持したまま音量調節ができ、初期性能を長期にわたって維持できる信頼性も持ち合わせていました。その後2010年にはAAVAを2回路平衡駆動させて、バランス入力→バランス出力の「Balanced AAVA」に進化させ、フルバランス回路を構成することによって更なる低ノイズ化を実現したC-3800を発売します。

そしてさらに10年の歳月をかけて、Balanced AAVAを更にダブル駆動、つまりAAVA回路を4回路平衡駆動させる「Dual Balanced AAVA」へと進化して、ノイズ成分を1/√2(約70%)に低減させることに成功しました。S/N比にして3dBのアップとなります。この差は実際の楽曲の再生で驚きの結果となりました。

C-3850(左)とC-3900(右)

当店の展示品のC-3850との直接比較で様々なジャンルの楽曲で比べてみました。
総じて感じるのは録音現場の空気感が変わることです。スタジオでもホールでの録音でも楽器やボーカルといった直接音の綺麗なことはもちろんのこと、その演奏会場の空気が澄んでいるのが如実にわかります。その空気感もC-3900の清々しい清涼感を感じるのに比べて、C-3850はどこか淀んでいるというか、ぬるい感じがしてしまいます。
そのほかピアノの躍動感というかグルーブ感が心地良く、ホールの残響音もかなりリアルに再現します。ジャズのスピード感やダイナミズムも素晴らしく、音離れの良さと音数の多さが際立っています。一言で表現するならば「ナチュラルなサウンド」という言葉に集約できると思います。再生音のどこにも誇張がなく、ひたすら自然な音という印象です。

日本のオーディオは音楽を一つ一つの音に分解して、その一音一音を磨き上げて、その集合体で音楽を構築するというイメージが私にはあるのですが、このプリアンプにはそうした音の集合体という感触がありません。「木を見て森を見ず」という感覚に陥らず、音楽全体を高次元で再生できる稀有な製品だと思います。その他アキュフェーズブランドの最上位プリアンプとして、各素材やパーツを吟味し尽くして練り上げられたC-3900は今年のプリアンプの一番の注目製品となりました。
プリアンプはオーディオシステム全体の「品格」を決定づける製品だと常々申してきましたが、その認識を改めて実感することができた今回の試聴でした。

実はもう一つ注目するプリアンプがあります。それはESOTERICのGrandioso C1Xで、電源部別筐体の2シャーシ構成です。価格は何と350万円! こちらも試聴ができましたらまたアップしたいと思います。