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オーロラサウンド VIDA-Prima 試聴記


お客様の試聴希望があって、オーロラサウンドのフォノイコライザーアンプ VIDA-primaをお借りしました。コンパクトな筐体で何となくひ弱そうに感じてしまうのですが、そのサウンドを聴いてみますとなかなかしっかりした音で、びっくりしました。
回路構成はNF+CR型で、NFで高域の補正、CRで低域の補正を行うとのこと。その再生音はアナログらしい暖かみのある優しいサウンドが特徴でゆったりとした空気感が心地よいです。いわゆる「上質なアナログサウンド」という表現がぴったりです。

価格は118,000円とリーズナブルで、このクラスの中では非常によくできた製品だと思いました。付属の電源ケーブルが細身のやや頼りないものでしたので、もう少ししっかりしたものに替えたところ音が激変しました。柔らかさの中にも芯の強さが出てきてガッツを感じられるようになりました。アナログ関連機器はこうしたちょっとした変更に敏感に反応するところが面白いですね。
静岡で作っているというウッドキャビネットと黄色いMUTEボタンが絶妙な雰囲気を醸し出しています。

VIDA-primaの出来の良さに触発されて上位モデルのVIDAを聴いてみたくなり、オーロラサウンドの唐木社長に頼んで借りてみました。このVIDAは2012年の発売ですが、発売当初から評判を呼んでいたモデルで一度聴いてみたいと思っていた機種でした。

本体サイズの横幅と奥行きはVIDA-primaと同じで、高さは3㎝ほど高くなっていますが電源部は別筐体です。ウッドキャビネットと黄色いMUTEボタンのたたずまいはそのままに、VIDA-primaでは後ろ側にあった各種切り替えがフロントパネルでコントロールできます。価格は328,000円とVIDA-primaの3倍弱と高価ですが、その再生音は評判通りの魅力溢れる音でした。

こちらはLCR型の回路構成で、L(コイル)にスウェーデンのルンダール社のフィルターコイルを採用しています。しかもオーロラサウンドの厳しい要求を満たしたコイルを特注して供給してもらっています。この高価なコイルをLR独立で計4個使用しています。
まず音の見通しの良さと低域の量感、そしてシャープな高域に驚きました。音楽がきめ細かくなり管楽器のブリリアントな輝きがリアルでした。それでいて音が硬くならず、適度なウェット感を保ちながら音楽の世界に浸ることができます。

VIDAのオプション品の中にSPC-VIDAという特製DCケーブル(40,000円)がありまして、デモ機の中にも入っていました。こちらも試してみたらこれまたびっくり! 音の粒立ちが全然違います。鮮烈な印象で音像がキリッと締まりました。純正のケーブルに戻してみるとやはりゆるくなりました。ケーブル径も細くお世辞にも40,000円もするようなケーブルには見えませんが、確かに音は良くなります。というかこの音を聴いてしまうと元には戻せなくなってしまいます。
このVIDAはバランス出力付きにできるなど様々なオプション設定があり、ユーザーの好みに仕上げることができますが、このDCケーブルは必須のような感じがしました。というよりも最初からこのケーブル付きで販売したほうがいいように思いました。それくらい圧倒的なグレードの違いがありました。

このオプションのDCケーブルを含めると368,000円になりますが、そうなると以前試聴させてもらったPhasemationのEA-350(390,000円)との比較も気になるところです。
現在はEA-350も展示がありますので、こちらとの比較もしてみました。
なお今回のフォノイコライザーアンプの試聴は、アナログプレーヤーにLUXMAN PD-151、カートリッジにPhasemation PP-500、アンプにAccuphase C-3850+A-75、スピーカーにMonitor Audio PL-200Ⅱの組み合わせにて行いました。
EA-350は以前にも述べましたように、低域を中心とした安定感というかどっしりと構えた落ち着きのある音です。円熟味のある万能タイプで、これぞアナログサウンドという感じの「まじめな音」です。一方VIDA+SPC-VIDAは若さ溢れるエネルギッシュなサウンドで「元気の出る音」です。この辺りはユーザーの好みと求める方向性によって選択が変わってくると思いますが、クオリティレベルとしては同等のように思いました。
もう一つ思いを新たにしたのが電源廻りの重要性です。フォノイコライザーアンプは扱う信号レベルが低いので電源環境や信号ケーブルに敏感です。ここを詰めることによって一皮むけたサウンドが楽しめます。ご興味のある方は試してみてください。