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ルームアコースティック調整の決定版


オーディオを本格的にやり始めると、最終的に行き着く先は「部屋」の問題です。
高価な機材を導入して、好みのスピーカーから出てくる音は、スピーカーからの直接音と壁や床に反射した間接音を含んだ部屋全体の音を聴いているわけです。お金に余裕のある方や徹底的にこだわる方はオーディオルームを作ったりしますが、大半の方はそこまではやらない(やれない)で、限られた環境の中で創意工夫と細かい調整でご自身の理想の音を追い求めて日々格闘しています。

そんな中で、部屋の音響特性を調整するルームアコースティック関連の商品が増えてきております。古くからあるQRDはその代表格です。しかしこのパネルは3種類の吸音・拡散比率の違うパネルの組み合わせでバランスをとるというもので、選択がやや難しいところがあります。それに対してここ何年かで急速に普及してきた日本音響エンジニアリング社のAcoustic Grove System (AGS)は、太さの違う木製ポールを組み合わせた構造で、パターンとしては基本的に1種類で、あとはポールの太さと本数の違いと高さの違いということになります。この基本構造で部屋の響きが一変するほどの変化があります。これの製品化のための基礎研究はどれほどかかったのかはわかりませんが、相当の時間と労力とコストがかかったことは容易に想像できます。設置場所によって壁用、コーナー用、壁コーナー用や天井のコーナー用などがありますが、最近は床用のANKH-Ⅵが加わりました。スピーカーの前の床に置くタイプで床の一次反射を上手くコントロールします。最初は90cm角だけだったのですが、つい最近60cm角の物が出てきて、一般家庭でも使いやすいサイズとなりました。

個人的にも興味があって、この60cm角のもの(FL66)を借りて、自宅に持ち込みテストしました。
AGSは置き場所によって色々な種類がありますが、大半はスピーカーの後ろやサイドの壁、スピーカー間の壁、リスニングポジションの後ろの壁等に設置しますが、このANKH-Ⅵは唯一スピーカーの前に置きます。スピーカーの後ろやサイドはスペースがない場合がありますが、スピーカーの前はある程度のスペースは必ずあると思います。置いた結果はさあどうなったか?・・・思った以上の激変でした。まず低域の解像度が格段に上がりました。それと音のフォーカスがキリッと絞られて演奏者の姿が見えるようでした。その変化はCDプレーヤーにマスタークロックジェネレーターをつないだ時の感覚とよく似たものでした。でも変化量としては今回の方がはるかに大きかったです。
これは言い換えれば、いかに床の反射の影響が強いかということになります。壁面に設置するANKHやSILVANは部屋の響きが自然になり、空間が広がった感覚になりますが、ANKH-Ⅵはもっとダイレクトな変化というか実在感を感じます。

正直「マズイものを聴いてしまったな~!」という感じです。私のリスニングルームはマンションということもあり、下のフロアに低域が響かないように、スピーカーの下にwellfloatのフローティングボードを敷いています。そのため床を伝わる振動(最低域)はほとんど感じません。その代りスピーカーの「素の低音」が聴けます。しかしそれだと少し低域不足になるので、SHIZUKAのオーディオカーペットを敷いたら最低域のちょっと上の低域成分が復活していいバランスになりました。そこにANKH-Ⅵを設置したらピシッと締まった音像が現れてビックリしました。オーディオカーペットは上品で洗練された音になりますが、ANKH-Ⅵを加えることによってそこにリアリティが追加されました。「う~ん、これは極上のバランスかも知れない」と思った至福の時でした。