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Accuphase C-3900を聴いて思うこと


先日、お客様の試聴希望でC-3900のデモ機をお借りして、じっくり聴かせていただきました。
アキュフェーズは言わずと知れた日本を代表する高級オーディオメーカーで、その技術力と完成度の高さは世界的にも高く評価されております。それぞれの製品に込められた情熱と高い信頼性は、1972年の創業以来 made in JAPANのオーディオ機器の中で常にトップクラスを走り続けているという信じられないくらい素晴らしい会社です。

C-3900

そしてアキュフェーズ製品の中で、常に最高位の評価を得ているのがプリアンプでありましょう。
創業翌年に発表したC-200(1973年、195,000円)、当時の真のハイエンドプリアンプを目指したC-240(1978年、430,000円)、現在につながるユニットアンプ構成を初めて採用した単機能プリのC-280(1982年、680,000円)、そして初代AAVAボリウムを搭載したC-2800(2002年、1,100,000円)から始まるAAVAの歴史はC-3800(2010年、1,700,000円)にBlanced AAVAとなり、入力から出力まで信号の完全バラン化を達成して、そしてついにC-3900が1,900,000円でDual Blanced AAVAへと進化しました。AAVA回路を2回路並列することで、ボリウム位置によるノイズレベルの変動も抑えられ実用レベルのS/N比が30%も改善されました。

AAVA回路一つとってもこれだけの変遷がある中で、その他のパーツや回路にも改善の手が加わり、プリアンプトータルの熟成が確実に進んでいます。C-3900のカタログによると全ての素材や回路の徹底的な見直し、その上で最新テクノロジーを惜しみもなく導入して、贅を尽くした製品に仕上げたとのことです。アキュフェーズのスゴイところは、常に今の製品をベースに、細かい改良を進めることにより「正常進化」させていくことに徹していることだと思います。この技術的革新の一方で、「音質的方向性」にもブレがなく、アキュフェーズユーザーのサウンドに対する期待をも裏切らない進化となっています。その傾向は外観にも表れていて、歴代の製品を見ても外観のデザインは大幅に変わることはなく、ある意味完成されたデザインと言えると思います。またそれ故に製品を新しく入れ替えても奥方にはバレにくいというメリットもあろうかと思います(笑)。

SILTECH CROWNスピーカーケーブル

今回の試聴はエソテリックのネットワークDACプリをネットワークプレーヤーとして使って、C-3900→A-75→B&W 803D3の組合せで行いました。C-3900の曇りのない秋晴れの空のような清々しさと透明感のあるサウンドが楽しめました。今までのC-3850とはちょっと空気感が違うようです。この辺りはやはりDual Blanced AAVAの恩恵なのだろうと思います。

実はたまたまお客様の試聴希望があって、SILTECHのCROWNスピーカーケーブルのデモ機が入っていましたので、それを使って試聴しました。このケーブルは試聴用ということもあって3mペアという長さで何と170万円という超高級品です。

このケーブルはすごかったです。当店の常用スピーカーケーブルはACOUSTIC REVIVEのSPC-TripleC 4芯バイワイヤーですが、これを遥かに上回るポテンシャルでした。ACOUSTIC REVIVEのケーブルはPC-TripleC素材で、高解像度で音数も多く、オーディオケーブルとしてはかなりの高評価をされている製品ですが、SILTECHのCROWNスピーカーケーブルはこうしたオーディオ的概念を飛び越えて純粋に音楽のみを聴ける、そんな印象を持ちました。オランダで1983年に創業したSILTECHの名前の由来はSILVERとTechnologyの造語で、創業当初より高純度銀線を採用しており、このCROWNシリーズは単結晶銀で最新の第8世代のS8が採用されているとのことです。ちなみにCROWNの上はTRIPLE CROWNシリーズで、3mペアで825万円という超絶の価格です!

SILTECH CROWNスピーカーケーブル

C-3900とSILTECHの組合せで、様々なジャンルを聴きましたが、どれも今までに経験したことのない別次元の音楽の世界に誘ってくれました。今まではオーディオ機器で再生しているという感覚の中で聴いていましたが、この組み合わせはオーディオ機器の存在を感じさせないで、純粋に音楽の世界の中で聴き入ることができました。

フジコ・ヘミングのラ・カンパネラは正にホールで聴いているかのような豊かな響きを感じました。マーティン・ツエラーの無伴奏チェロ組曲でも同じような感覚を味わえました。またジャズのピアノトリオやカウントベイシー・オーケストラのビッグバンドでも同じように極上の音楽空間を感じました。

こうしたSILTECHのCROWNやTRIPLE CROWNなどのウルトラハイエンドケーブルは、アンプでいえばFM AcousticsやCH Precision 、スピーカーでいえばMAGICOやYG Acoustics などのウルトラハイエンド機器が奏でる世界と同様に、普通のハイエンドオーディオの世界とは一線を画したまた別の世界に誘ってくれるという認識を新たにしました。その中で価格的にはウルトラハイエンドまでの領域に達していないアキュフェーズはなかなかのポテンシャルを発揮してくれたと私は思っています。アキュフェーズは日本人の古き良き時代のモノづくりの基本と勤勉さを持ち続けている数少ない会社だと思います。このブレない姿勢こそがアキュフェーズのアイデンティティなのでしょう。今後もこのまま続いていってほしいと切に願っております。我々販売店も全力で応援致します!