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B&W 802D4 展示いたしました !


B&W 804D4(左) と 802D4(右)

昨年の804D4に続いて上級モデルの802D4の展示を開始いたしました。
前作の展示は803D3であったため、一回りサイズアップして、価格もアップして、ローズナット仕上げで税込ペア4,114,000円と400万円を超える高級品となってしまいました。しかしその存在感は圧倒的で、すぐさま当店のレファレンススピーカーとして君臨してしまいました。

おろしたてのスピーカーのため、バーン・インCDでコンディションを整えて、徐々に慣らしていき少しずつ音楽をなじませてきている状態です。それ故にまだ断言的なことは言えませんが、それでもこのスピーカーが持っているポテンシャル、というか個性や性格というものが少しずつ分かってきたような気がします。

STEREO SOUND誌 NO.222号ではこの800D4シリーズ、特に最上位モデルの801D4の特集記事が載っていますが、その中で評論家先生方の印象がすこぶる良いのが印象的でした。

確かにステレオサウンド誌の試聴室のリファレンススピーカーは、ここ20年くらいはB&Wが占めてきましたが、その大きな理由の一つは様々な機器の音色的違いを明確に引き出すモニタースピーカーとしてのポテンシャルの高さにあろうかと思います。特に2005年の800シリーズ以降は基本コンセプトを受け継ぎながら、様々なリファインを繰り返してホームユースのモニタースピーカーとして圧倒的な評判を得ている人気シリーズとなっております。

その最新作である800D4シリーズの最上位モデルの801D4は評論家の先生方のコメントでも「鳴らしやすい」「聴いていて楽しい」「演奏が生き生きと甦る」などとベタ褒め状態です。確かに当店の802D4でもまだエージング状態のはずなのに、低域の量感と反応の良さや中域のしなやかさとみずみずしさ、サウンドステージの広さなどD3シリーズから大きく進化したポイントが感じられました。全体に歪み感のないクリアな音場に、きめの細かく音数の多い、清涼感溢れる音楽が楽しめます。そして音楽の世界に自然とどっぷり浸かってしまうほどのめり込んでしまいます。

ここで800D4シリーズの技術的進化のポイントを確認していきましょう。
➀バイオミメティック・サスペンション

従来のダンパー(左)とバイオミメティック・サスペンション(右)

中域ユニットのコンティニュアムコーンの裏側についている布製のダンパー(サスペンション)から発生するノイズについてB&Wは2004年の時点で課題として認識していたようで、そこから十分な時間をかけて開発された細い紐状のダンパーは「熱可塑性ポリマー」という特殊な樹脂素材で、従来の繊維系素材のダンパーに比べて極めて少ないノイズ発生量だということです。いかにも固有の音(ノイズ)が発生しなさそうな形状ですね。B&Wではこの素材を見つけ、形状を完成させるまで8年の歳月を要したとのことです。
➁タービンヘッドの改良

D4シリーズのタービンヘッド(中音域ユニットのエンクロージャー)は鋳造アルミニウム製のハウジングとなり、振動対策を強化しました。さらにタービンヘッドの内部に金属製のTMD(チューンド・マス・ダンパー)を4個取り付け、中心部と内周部を連結する5枚のフィンの両面にダンピング材が張られて、ハウジング内の振動対策を大幅に強化しました。
➂ツイーター・アッセンブリーの延長

ツイーター・アッセンブリーの長さが増すことにより、振動板の背圧を減らして、高周波歪が増える周波数を低く抑えて、ミッドレンジとのつながりを改善したとのことです。更に磁気回路のネオジムマグネットを3個から2個に削減して、ツイータードーム内の内容積を増やす効果も獲得できました。またチューブが伸びることによる重量の増加に対しては、シリコンゴムで覆われたスチール製L型マウントを2か所に導入して、従来よりも頑丈な保持が実現できました。
➃キャビネットの剛性アップ

D4シリーズはキャビネット上面にはアルミダイキャスト製のトッププレートが採用されて、タービンヘッド等の重量物をしっかり支える構造になっています。その表面にはコノリーレザーが張られており、デザイン性と音の反射をコントロールしています。また805や804においては、フロントの湾曲部にスピーカーユニットを組み込み、背面にアルミプレートを背負わせてネットワーク回路を組み込むという、従来の上位モデルと同じ構造のリバースラップ・キャビネットに変更してエンクロージャーの剛性を飛躍的にアップさせました。また804D4は上位モデルと同じくバスレフダクトが底面に下向きに抜ける形となり、上位モデルと同じ台座「アルミニウム・プリンス」が投入され、低域の再生能力が大幅にアップしました。
その他細かい変更点を挙げればきりがないほどD4シリーズはリファインされており、音楽を鳴らしてみれば驚くほどの進化を感じます。価格的にも高いものとなりましたが、その分を差し引いても余りある音質的アドバンテージはあると思います。

さて、ここからは実際に音楽を鳴らしていきます。
まずはクラシックから

➀ サン・サーンス  交響曲第3番 「オルガン付き」 第2楽章後半
パイプオルガンの低音の量感と響きが素晴らしいです。803D3ではここまでの量感は正直出ませんでした。やはりウーハー口径が大きいのと、それに伴いエンクロージャー容積も大きくなっているので低域に伸びがあります。それと中低域にキレを感じます。このあたりはミッドレンジに採用した新開発のバイオミメティック・サスペンションが効いているのだと思います。

➁ ヨーヨー・マ  シンプリ―・バロックⅡより ゴールドベルグ変奏曲
チェリストのヨーヨー・マが、エンドピンが無く弦や弓も違うバロックチェロを弾いたシンプリ―・ バロックの第2作目です。ヨーヨー・マが自分のチェロを改造して、バロックチェロに近づけて、一緒に共演したアムステルダム・バロック管弦楽団の方たちのアドバイスを受けながら、音楽を作り上げていったようです。ここでも802D4の解像度の高さや音離れの良さが感じられ、それぞれの楽器の位置が明瞭になってステージが見えるような感覚になります。

➂ ベートーヴェン 交響曲第6番 へ長調 作品68番 「田園」 第1楽章
ベートーヴェンが生涯に作曲した9つの交響曲のうち、「運命」に続く6番目に完成させた「田園」は非常に「牧歌的」な、緊張感を強いることのない、さわやかで優しい楽曲です。広大な田園風景が目の前に広がる空気感が見事に再現されました。このスピーカーのS/N感の良さがこの空間再現に大きく寄与していると実感したしました。

次にジャズ・フュージョン系のディスクから

➃ ヨーロピアン・ジャズトリオ SONATAより 「天空のソナタ」
ジャズの本場アメリカのピアノトリオと違って、ヨーロピアン・ジャズトリオはクラシック音楽を洗練されたジャズスタイルに昇華させた独特の演奏で、現代のオーディオ機器のポテンシャルを確かめるには絶好のディスクとなります。ピアノの粒立ちと透明感、ベースの重厚感やドラムスのシンバルの響きなど、録音現場の空気感がリアルに再現されました。

➄ 綾戸智絵 LIVE! CONCERT HALL編より 「アメージング・グレイス」
2000年12月に収録された綾戸智絵のライブパフォーマンスで、1枚目は東京・六本木のジャズクラブ(今は亡き)STB139での収録で、2枚目は北海道 札幌市のコンサートホール キタラの大ホールでの収録です。ここは収容人数2,000名のアリーナ型の大ホールで、残響時間が2秒というクラシック系コンサートホールです。この残響時間たっぷりのホールトーンの中で、綾戸智絵のヴォーカルが冴えわたります。このホールトーンを802D4は正確に再現していると思います。なおジャズクラブ編では観客の歓声や拍手、食器やグラスの音などもリアルに収録されていて、非常に面白いディスクだと思います。

➅ CHICKINSHACK STAY-UP より 「FLOWERS FOR LENA」
このグループをご存知ない方もいらっしゃるかもしれませんが、サックスの土岐英史、ギターの山岸潤史、ピアノの続木 徹を中心としたフュージョングループで、メロディアスでソウルフルなサウンドで人気を博しました。中心的存在の土岐英史が昨年6月に71歳で逝去されたので、このバンドを生で聴くことは叶わなくなってしまいました。チキンシャックの美しいメロディラインと深いエコー感が802D4で鳴らすと、より感動的に感じられます。

最後に女性ヴォーカルを1枚。
➆ ウィリアムス浩子 MY ROOM Side4 より 「バークリースクエアのナイチンゲール」
スタジオではなく、オーディオルームで録音されたMY ROOMシリーズの最終章にして最終曲です。彼女がプロのシンガーを目指すきっけとなったのがこの曲だそうです。ギターとヴォーカルのみというシンプルな録音ゆえにヴォーカルの口元やギターの弦をつまびく位置などがピンポイントで分かるほど、サウンドステージが明確になりました。まさにバーチャルリアリティの極致の世界でした。

現在、店頭には802D4と804D4の2種類が並んでおりますが、サイズも価格もそれなりに違いがありますが、このシリーズが持っている音色的傾向は同じとみていいと思います。違いは低域の量感と中域のエネルギー感だと思います。このあたりはスピーカーユニットの口径やエンクロージャーのサイズの違いによるもので、スピーカーが持っている性格は同じで、ポテンシャルの違いということになるのだろうと思います。価格的にもほぼ倍の違いがありますので、リスニングスペースやその他の機材のグレードによって選択するという形になろうかと思います。
いずれにしましても、現代のスピーカーシステムの最先端を走るモデルでありますので、ご興味のある方はお好きな音源をお持ちいただいてご試聴されることをお勧めいたします。